SAILOR2019-2020
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17万年筆ペン先ラインアップ練達の職人の手業と経験に裏打ちされた作業の始まりは、金の溶解。次に待ち受けるのが、圧延。火入れをし、また圧延する。何度となく繰り返しては、溶解した金を一定で均一の厚味に仕上げていく。根気のいる作業である。(写真)納得の仕上がりの後、形状抜き。形状付けの工程に入る。形状は当然のことながら、字幅によって一つ一つ異なっている。玉付けと呼ばれるペンポイントを付ける作業。ペンポイントの大きさは字幅により異なり、この玉付けの優劣がペン先の生命を決定する。それだけに、続く円柱研磨(玉研磨)と共に腕が試され、納得のいく仕事に情熱を傾けている。鋸割。ペン先に割れ目を入れる作業である。ここから生まれるペン先の弾力。皮膚感覚でしかはかりようのない神業が発揮されていく、真剣勝負の連続である。いよいよ玉仕上げ。鏡面研磨は、納得のいく検査をしながらの作業だ。高品質を保つこととバラツキをなくすことが課せられた使命。手作業ならではの入念な確認と修正があって、はじめて次の工程に移ることができる。羽布(バフ)磨き。洗浄。と工程は、フィナーレに入る。熟練の業が、書き味につながっていくすべてに、りきみもないが、たるみもない。恐るべきは、練達の域。入魂の業だ。凝縮された職人の技が、書き味を決める。ペン先の製造工程。

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